我々の研究室ではこれまでに、化学療法に抵抗性を示す潜在性結核菌にも有効な新規医薬シーズとして、インドネシア産のAaptos属海綿から3-(phenethylamino)demethyl(oxy)aaptamine (PDOA)を見出していました。しかしPDOAの標的分子（結合タンパク質）の同定には至っていませんでした。今回我々は、合成アナログ化合物を用いてPDOAの構造活性相関を明らかにし、さらにその結果をもとに、標的分子同定を目的としたPDOAプローブのデザインと合成を行いました。また、合成したPDOAプローブの機能評価を行い、PDOAプローブが標的分子同定に有用であることを強く示唆する知見を得ました。今回は、これら一連の研究結果が認められ受賞に至ったものです。今後さらなる研究の発展により、PDOAの標的分子が明らかとなり、医薬リードとしての活用や新規薬剤標的の創出につながることを期待します。