終末期がん患者さんやそのご家族が残された時間を有意義に過ごすために、また、医療者が患者さんの状態に応じた適切な治療・ケアを実施するためには、生命予後を正確に予測することが重要です。現在、様々な予後予測法が臨床現場で使われていますが、短期予後を簡便かつ高精度で予測できる方法は未だ確立されていません。そこで私達は、新たな短期予後予測法の開発を目指しており、これまでに、6つの検査項目（WBC、PLT、CRP、BUN、AST、LDH）から構成される予測法（WPCBAL score）が短期予後の予測に有用であるという可能性を見出してきましたが1,2、現存する主な予測法との直接的な比較はできていませんでした。そのため、今回は数年間にわたる前向き観察研究を実施し、WPCBAL scoreが世界的に汎用される予測法と同等あるいはそれ以上の予測能を有することを明らかにしました。本研究成果は、高齢化の進展に伴いアドバンス・ケア・プラニング（人生会議）の重要性が高まっている昨今において、患者さんや医療者の意思決定をサポートしうる貴重な知見であると評価され、受賞に至りました。

1.Niki K, Okamoto Y, Tabata Y, Tsugane M, Murata T, Mizuki M, Matsumura Y, Takagi T, Uejima E. A New Approach for Determining Short-Term, Objective Prognostic Predictive Methods for Terminal Cancer Patients Based on the Change Point of Laboratory Test Values. J Palliat Med. 2018 Apr;21(4):529-532. doi: 10.1089/jpm.2017.0233.
2.Niki K, Okamoto Y, Matano Y, Ishii R, Matsuda Y, Takagi T, Uejima E. Validation of a Short-Term, Objective, Prognostic Predictive Method for Terminal Cancer Patients in a Palliative Care Unit Using a Combination of Six Laboratory Test Items. J Palliat Med. 2019 Jun;22(6):685-690. doi: 10.1089/jpm.2018.0422.