通常、臨床研究を実施する際には、文書もしくは口頭で説明・同意を行い実施をします。臨床研究のうち、患者さまへの侵襲や介入もなく診療情報等の情報のみを用いた研究や、余った検体のみを用いるような研究については、国が定めた指針に基づき、対象となる患者さまのお一人ずつから直接同意を得る必要はありませんが、研究の目的を含めて、研究の実施についての情報を公開することが必要とされております。

このような手法を「オプトアウト」と言い、当科での一部の臨床研究をオプトアウトの手法で行っています。

ご自分の記録について当該研究で使うことを望まれない方については、その方の記録や情報を用いずに研究を実施いたしますので、研究への協力を希望されない場合は、下記文書内に記載されている各研究の担当者までお知らせください。

左室収縮能が保たれた心不全の予後に関する多施設共同前向き観察研究

研究概要

 平成26年度の人口動態統計によると、我が国における心疾患による死亡数は約19万6千人であり、1位である癌による死亡数の37万人に続きます。また、平成24年度国民医療費に対する循環器疾患の占める割合は1位であり、循環器疾患に対する医療対策が急務となっています。その循環器疾患の中でも、心不全による死亡は年々増加しており、特に対策が急がれる分野です。
 近年、心筋収縮能は比較的保たれているにもかかわらず、拡張能の低下により心不全症状が出現するHeart Failure with preserved Ejection Fraction (HFpEF: 収縮機能が保持された心不全) という心不全が世界的に注目されています。この心不全が発症する機序やその後の治療法については、不明な点が多いことが現状です。

研究目的

 HFpEF患者さんの臨床背景、治療内容、予後を明らかにすることで、HFpEF患者さんの病態を把握し、病気の解明や新しい治療法の発見の一助とすることが目的です。

研究方法

 『対象症例』で記載した患者さんの診療情報を診療情報から抽出し、臨床背景、治療内容、予後を調査し、HFpEFに関係する因子の解析を行います。

対象症例

 研究参加施設に非代償性心不全との診断(フラミンガム診断基準に基づく)にて入院となった患者のうち、1.2.を満たす者。

1.入院時の経胸壁心臓超音波検査においてm-Simpson法またはTeichholz法にてLVEFが50%以上であること。
2.入院時の NT-proBNP 400pg/ml 以上またはBNP 100pg/ml 以上であること。

なお、1.2.の両者を満たしても、以下が一つでもある場合は、対象外となります。

・入院時の心エコーにて弁の器質的変化による重度以上の弁膜症(大動脈弁狭窄症(AS)、大動脈弁閉鎖不全症(AR)、僧房弁狭窄症(MS)、僧房弁閉鎖不全症(MR))を合併する症例。
・20歳未満の症例。
・入院時急性冠症候群合併例。
・予後半年以内と診断されている心臓外の疾患を有する症例。
・心臓移植術後症例。
・その他主治医が不適当と考える症例。

研究の意義

 心不全のなかでもHFpEFは、その発症機序、その後の経過など不明な点が多く、世界で研究が進められています。HFpEF患者さんの診療情報を詳細に検討することで、病気の詳細が明らかになったり、新しい治療法が発見されたりすることが期待されます。これらにより、HFpEF患者さんの生活の質が改善したり、再入院率や死亡率軽減につながることが期待されます。

研究ID

UMIN_ID:000021831

研究機関名/研究責任者

 大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学講座
 大阪大学医学部附属病院 循環器内科
 市立池田病院 循環器内科
 NTT西日本大阪病院 循環器内科
 国立病院機構大阪医療センター 循環器内科
 大阪警察病院 循環器内科
 大阪急性期・総合医療センター 心臓内科
 大阪府立病院機構大阪国際がんセンター 循環器内科
 国立病院機構大阪南医療センター 循環器内科
 大阪労災病院 循環器内科
 加納総合病院 循環器内科
 川崎病院 循環器内科
 河内総合病院 循環器内科
 市立川西病院 循環器内科
 関西労災病院 循環器内科
 紀南病院 循環器内科
 公立学校共済組合 近畿中央病院 循環器内科
 兵庫県立西宮病院 循環器内科
 神戸掖済会病院 循環器内科
 大阪府済生会千里病院 循環器内科
 桜橋渡辺病院 循環器内科
 地域医療機能推進機構JCHO大阪病院 循環器内科
 地域医療機能推進機構JCHO大阪みなと病院 循環器内科
 地域医療機能推進機構JCHO星ヶ丘医療センター 循環器内科
 市立吹田市民病院 循環器内科
 住友病院 循環器内科
 市立豊中病院 循環器内科
 市立東大阪医療センター 循環器内科
 箕面市立病院 循環器内科
 八尾市立病院 循環器内科
 りんくう総合医療センター 循環器内科
 尼崎中央病院 循環器内科
 大手前病院 循環器内科

(研究責任者:坂田泰史 大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学講座教授)

個人情報の扱い

 患者さんの診療情報のなかに含まれる、お名前、生年月日、カルテ番号、住所、電話番号等、ご本人を特定しうる個人情報については、匿名化を行い、情報が外部に漏れないように厳重に管理、保管します。また、研究成果が公表される場合にも、患者さんが特定されないように取り扱います。

本研究に関する代表連絡先

 大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学講座
 TEL 06-6879-3640

研究対象者に研究への参加を拒否する権利を与える方法

 本研究の対象患者さんは、上記問い合わせ先に連絡することによっていつでも本研究への参加を拒否することが可能です。

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