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2022/09/16

受賞

【受賞】医薬品・医療機器規制科学研究室 博士前期課程1年 白霖氏が第8回 若手RSフォーラム2022にて優秀発表賞を受賞しました(2022年8月26日)

 第8回 若手RSフォーラム2022 優秀発表賞は、同フォーラムにおけるレギュラトリーサイエンス及び関連分野の研究に関する優れた研究内容の発表者に送られる賞です。今回、以下の研究成果を発表した白霖さんが、優秀発表賞を受賞しました。

【演題】Safety evaluation of aflatoxin B1 in the human intestine by using a highly sensitive doxycycline-inducible CYP3A4-Caco-2 cell line

 ヒトの腸管上皮細胞は、細胞間のタイトジャンクション(TJ)シールと代謝酵素CYP3A4による代謝を介して、医薬品や食品等の代謝・吸収を行っている。小腸における代謝・吸収の評価には、ヒト結腸癌由来Caco-2細胞を用いた評価系が汎用されているが、Caco-2細胞におけるCYP3A4の発現はヒト腸管組織に比べ低く、正確な評価ができない。そのため、腸管における代謝物の安全性を評価する研究はほとんど報告されていない。穀類に寄生するアスペルギルス属のかびが産生するかび毒であるアフラトキシンB1(AFB1)は、肝CYP3A4により代謝され、強い肝毒性および肝発癌性を示すことが知られているが、腸管バリアへの影響については不明である。
 そこで本研究では、CYP3A4活性がヒト腸管組織と同程度であるドキシサイクリン誘導CYP3A4発現Caco-2細胞を用いたin vitro評価系を用いて、AFB1の代謝産物の腸管バリア機能への影響を検討した。その結果、CYP3A4を発現したCaco-2細胞では、AFB1添加によりバリア機能が低下し、高分子の透過が増加することが示された。このことから、腸管上皮細胞においてCYP3A4によるAFB1の代謝産物は、腸管から生体内へのAFB1やアレルゲンなどの透過を伴う腸管バリア傷害のリスクとなる可能性があると考えられた。本研究成果より、ドキシサイクリン誘導CYP3A4発現Caco-2細胞は、ヒト腸管上皮における化学物質の安全性を評価するための極めて重要なツールになるものと期待される。