オピオイド鎮痛薬の一つであるメサドンは、難治性の痛みに対しても効果を示しますが、QT間隔の延長が懸念されるため、高齢者や心疾患を抱える患者さんに対しては一般的に使用が控えられています。しかし、このような患者さんが難治性の痛みで苦しんでいる際は、QOL（生活の質）を下げないためにメサドンを使うことが望まれますが、その使い方に関するエビデンスはありません。そこで我々は、QT延長リスクがあると考えられる患者さんに対しても安全かつ有効にメサドンを導入できる方法を検討しました。その結果、メサドンを使う前のオピオイド鎮痛薬の使用量が少ない段階からメサドンに切り替え、メサドン自体の使用量を比較的少量に抑えることで、QT延長リスクがある患者さんに対しても安全かつ有効にメサドンを導入できる可能性を示しました。本研究成果は、難治性の痛みに対する治療選択肢の拡大に寄与しうるものと評価され、受賞に至りました。