先輩を訪ねて

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現在はどのようなことをされていますでしょうか

青いバラの開発を続けています。青いバラについては、高校の生物の教科書すべてに掲載されているそうですが、今販売中の青いバラは紫色だと言われるので、もっと青くしたいと思っています。他にも、ある植物の有用成分の向上を目指していますが、詳細は秘密です。
60才を過ぎて、マネージメントはやらなくてよくなったので、実験を楽しんでいますが、スキルは派遣社員さんの方がずっと高いです。

現在の活動(研究も含め)はどのようなきっかけで始められたのでしょうか

社命です。

大阪大学理学研究科時代に、心がけていたこと・大切にしていたことは何ですか

いっぱい実験することです。
やっておけばよかったと思っていることは、有機化学の勉強です。単位は取得しましたが身にはつきませんでした。プログラミングも、Fortranの授業がありましたが1回目で挫折しました。

大阪大学理学研究科時代に印象的なエピソードがあればお教えください

修士の時には、ある化学合成独立栄養細菌から精製したチトクロームcのアミノ酸配列を決めていました。その最中にカナダのグループから同じ蛋白質の部分アミノ酸配列を含む論文が出ました。この菌は1トンの培養タンク(現在は撤去されている)で1週間培養して100gぐらいしか得ることができないので実験材料としては良くはないですが、それでも同じことを研究している人が世界のどこかにいるということを実感しました。企業での研究でも、他社よりも早く特許をだすことが重要です。何度も競争がありました。
当時は研究室に教授1、助教授1、助手2、教務職員1という体制でした。特に年の近い職員の方とは一緒に遊べる雰囲気があり、楽しい研究生活でした。

これからの大阪大学理学研究科について、提言等ありましたらお教えください

昔よりも教育やマネージメントにとられる時間が多いようで、大変そうだなと思います。理学部なので、中途半端に応用を目指さず、ノーベル賞をとるような研究を期待します。

今後やってみたいことはどのようなことでしょうか

定年後(あと3年弱)何をするか思案中です。知り合いの研究室に潜り込んで実験をするか、どこかに社会人入学するかなど。多少は世の中の役に立つことをしたいです。
現在はコロナのためどこにも行けないですが、国内外の旅行、特に海外長期放浪の旅にも行きたいです。

理学友倶楽部の部員にメッセージをいただけますでしょうか

学生の間は、なんといっても時間があり、責任はあまりないので、いろんなことをやってみればよいと思います。短期でもよいので海外の研究室などに行ってみれば、多様性を実感できますし、学ぶことも多いと思います。進路については今の研究テーマに縛られることなく、幅広く、柔軟に考えればよいです。社会に出ると、めぐりあわせで、いろんなことをやらないといけなくなりますが、やればなんとかなるものです。

最後にひとこと

時間が過ぎるのはあっという間ですので、若いうちに無理してもいろいろやっておきましょう。
振り返ると反省すべきことばかり。

経歴

1981年

理学部生物学科卒業

1983年

理学研究科生物化学専攻博士前期課程修了

1983年

サントリー株式会社入社、現在に至る

この間、1988年 大阪大学理学博士、
大阪大学、京都府立大学、福山大学 客員教授、
名古屋大学、神戸大学など 非常勤講師

2021年02月16日 掲載